音楽出版社とは?レコード会社とは違うの?【初心者向けに解説】
👤「著作権とかの話になると出てくる、音楽出版社ってなんですか?簡単に教えて〜」
こんな疑問に答えます。
▶︎この記事の内容 音楽出版社の仕事とは?について簡単に説明します。
▶︎目次
- 音楽出版社とは?
- 音楽出版社・作家への分配
- レコード会社の宣伝との違いは?
- 現代の音楽出版社
▶︎プロフィール
記事を書いている僕は、フリーランス音楽活動歴8年ほど。
路上からスタートして、タイアップをとったり音楽だけで生活したりといった経験をしてきました。
楽曲:テレ朝系、AbemaTV『みのもんたのよるバズ!』テーマソング 出演:NHK Eテレ『ムジカ・ピッコリーノ』など
音楽出版社とは?レコード会社とは違うの?【初心者向けに解説】
以前に、
YouTubeにカバー曲はアップしていいの?【著作権・原盤権とは】
という記事で「著作権」や「JASRAC」「NexTone」などの説明をしました。
では、実際どうやったら曲の著作権を預けられるの?という点について説明します。
例えば現在、曲の著作権を預かってくれる組織のひとつ「NexTone」は、個人が「僕の曲を預かってくださいよ〜」と言っても残念ながら預かってくれません。
そこで登場するのが「音楽出版社」です。
音楽出版社は、作詞作曲者(作家)から「曲の著作権」を預かり、その権利を「JASRAC」や「NexTone」等へ代わりに預けてくれます。
この音楽出版社が、曲の著作権をそのまま管理してもいいのですが、ほとんどの場合は音楽出版社から「JASRAC」などに預けています。(現在「JASRAC」に著作権を預けている音楽出版社は約3,000社)
「なんで音楽出版社が自社で管理をしないの?じゃあ音楽出版社はそれ以外に何をやってるの?」
こちらについて説明します。
音楽出版社とは?
実は音楽出版社は、著作権の管理を「JASRAC」や「NexTone」などに任せている間に、預かった楽曲がいろんな所で使われるようにレコード会社やテレビ局やラジオ局、制作会社などにプロモーション(宣伝・売り込み)をしてくれているのです。
つまり音楽出版社は作詞作曲者(作家)から曲の著作権を預かり、その楽曲を色んな所に広める役割を担っている会社です。
この記事の冒頭では「NexTone」の話をしましたが、「JASRAC」であれば個人でも「信託契約」で曲の著作権を預けることができます。
(第三者がその曲を使った実績など、細かな条件あり。)
ただ個人で契約をするのではなく、「音楽出版社」を通すことで音楽出版社がその曲を沢山プロモーションをしてくれます。
JASRAC等に曲を預けても、実際に曲が使われないと作詞作曲者(作家)には印税が入ってきません。
そのため、ほとんどの作詞作曲者(作家)がこの「音楽出版社」を通して曲の著作権を預けているのです。
(作詞家・作曲家が音楽出版社と結ぶ契約を「著作権譲渡契約」といいます。)
音楽出版社・作家への分配
では実際に「JASRAC」と契約し、音楽出版社がプロモーションをした結果「その曲を使いたいです」といった人が現れた際の流れを説明します。
①曲を使う人が「JASRAC」へ使用料を払う。
曲を使う(使った)人は「JASRAC」にその曲の使用料を払います。
②「JASRAC」が、預かった使用料を「音楽出版社」へ送金する。
曲を使用した人から預かった使用料を、JASRACは音楽出版社へと送金します。
③音楽出版社と作詞作曲者(作家)で、使用料(印税)を分配。
音楽出版社は曲のプロモーションをする代わりに、作家との契約に基づいた印税の一部を受け取るといったシステムになっています。
JASRACはこの使用料を正確にキャッチするために、例えばカラオケの場合は通信カラオケの事業者からカラオケ店の端末で利用された曲目と回数のデータの提供を受けています。
テレビ・ラジオの場合は放送局のデータを元に、放送された曲目すべてのデータを受け取っています。
レコード会社の宣伝との違いは?
レコード会社も、制作したCDを売るためにプロモーションを行なっています。
「じゃあ、音楽出版社とレコード会社って一緒じゃないの?」と思うかもしれません。
ここをわかりやすく説明すると
<レコード会社> 「録音されたCD」のプロモーションを行う。 <音楽出版社> 「作られた曲そのもの(歌詞とメロディー)」を色んな所で使ってもらえるようにプロモーションをする。
このようなイメージです。
つまり、まだCDになっていない曲でも、その曲をレコード会社に持っていって「この曲をあのアーティストの次のシングルにどうですか」といった売り込みをすることもあるのです。
日本の主な音楽出版社
日本の音楽出版社には、現在さまざまな系統があります。中にはテレビ局が設立した音楽出版社なども多く存在します。
例えば「フジパシフィック・ミュージック」という名前の音楽出版社はフジテレビが設立した音楽出版社です。
テレビ局が音楽出版社を抱えることで、何が都合良いかというと。
例えば、フジテレビで放送するドラマの主題歌を自社の「フジパシフィック・ミュージック」が権利を持つ楽曲の中から選んだとします。
当然ドラマの主題歌ということもあり、カラオケで歌われたりあちこちで使用されることが多くなるわけですね。
そのため、テレビ局は自分たちの局系列の音楽出版社の曲を使うことで、著作権使用料が自社に返ってくるという循環が出来上がるのです。
逆を言うとテレビ局系列の音楽出版社に曲の権利を委託すると、タイアップなどのパイプが強いということです。
近年では、自社の音楽出版社を抱えるレコード会社が自分のところでは管理せずに、あえて外部のテレビ局系列の音楽出版社に管理を委託して、タイアップを狙うといったことも多くなっています。
音楽出版社の主な系統はこのような感じです。
- 独立系
- レコード会社系
- 芸能プロダクション系
- 放送局系
- 映画会社系
- 広告会社系
現代の音楽出版社
最近では、音楽出版社もレコード会社と同じように自らアーティストを抱え、CDを制作するなど業態を広げています。
ただ単に、著作権を管理してプロモーションを行うだけの会社ではなくなってきているようですね。
「著作権」と同時に「原盤権」も自社で持つといったイメージです。
なので、一概に「音楽出版社は曲を広めるために宣伝してくれる会社だよ」とは言えなくなってきているのが現状です。
ちなみに
ちなみに「音楽出版社」と聞くと「楽譜を出してるところじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。
楽譜や音楽専門書などを出版している会社は「楽譜出版社」と呼ばれる会社です。
中には、曲の著作権の管理を行う「音楽出版社」と楽譜や音楽専門書などを出版する「楽譜出版社」の両方を担っている会社も存在します。
まとめ
漢字ばっかり出てくるし、非常にややこしいですよね(笑)
簡単にまとめると
<音楽出版社> 作詞作曲者(作家)から曲(歌詞・メロディー)の著作権を預かり、その楽曲をいろんな所に宣伝してくれる会社 <レコード会社> 作ったCDが売れるようにいろんな所に宣伝してくれる会社
この違いで覚えておきましょう。
自分で著作権を管理したり、曲のプロモーションをしたりというのは非常に大変なことです。
僕もこの音楽出版社に一部、曲を預けています。
これから曲をたくさん作っていくぞっていう方は覚えておきましょう。
というわけで以上です。