初心者向け!作詞の方法・コツ・簡単なやり方【経験上の具体例あり】
👤「作詞をしたいんだけど思うようにできないし、全然ワードが思いつかない。コツとか手順があれば教えて欲しい。」
こんな疑問に答えます。
▶︎この記事の内容 作詞がうまくできない人に、具体的な手順を紹介します。
▶︎ 作詞の進め方5ステップ
- ①テーマを決める
- ②キーワードを書き出す
- ③構成を決める(最終的に伝えたいことを決める)
- ④一番伝えたいことをサビに書く
- ⑤Aメロ、Bメロで5W1Hを詰め込む
- さらに細かなテクニック
- 具体例
- 初心者にNGな作詞法
▶︎ プロフィール
記事を書いている僕は、フリーランス音楽活動歴8年ほど。
路上からスタートして、タイアップをとったり音楽だけで生活したりといった経験をしてきました。
楽曲:テレ朝系、AbemaTV『みのもんたのよるバズ!』テーマソング 出演:NHK Eテレ『ムジカ・ピッコリーノ』など
初心者向け!作詞の方法・コツ・簡単なやり方【経験上の具体例あり】

先に結論を言いますと、作詞に正解はありません。基本的には自由に何を書いてもいいのです。
とはいえ、最初は右も左もわからず「自由って言われても、、、」といった感じになってしまうかと。
そこで初心者の方にオススメの作詞の進め方5ステップを、経験上の具体例を交えながら紹介してみたいと思います。
①テーマを決める

まずは、ざっくりと大枠のテーマを決めてしまいましょう。
- 恋愛:片想い、失恋、現在付き合っている、夫婦
- 友情:大人、学生、職場、学校
- 仕事:頑張っている、辞めたい、目指している、楽しい、辛い
などなど、例えばひとつのテーマ「恋愛」に決めたとしても、「恋愛」の中にも更に「片想い」だったり「失恋」だったり細かなテーマに分かれていきます。
より、書きたい内容が明確になってくるかなと思います。
テーマを決める上でのおすすめ
実際にテーマを決める上でおすすめなのがテーマの掛け合わせです。
これをやることによってより具体的で歌詞が浮かびやすく、テーマのバリエーションを増やすことができます。
<具体例> テーマの掛け合わせ:「失恋」×「春」
ただの「失恋の歌」や、ただの「春の歌」より更に具体的な内容が浮かびやすく、書きやすくなるかと思います。
②キーワードを書き出す

テーマが決まったら次にキーワードを書き出してみましょう。
例に出した「失恋」「春」で言うと、「失恋」「春」がテーマと聞いて頭の中に浮かぶもの、自分の記憶の中の言葉などなど。
<具体例(失恋 × 春)> ・「春」 桜、歩道橋、舞い散る、春風、木漏れ日… ・「失恋」 さよなら、遠い日、あの頃、蘇る、振り返る、叶わない、記憶、今でも…
キーワードを書き出す上でのおすすめ
実際書き出してみると意外と多くは出てこないものです。そこでオススメなのが、時間を決めてバーっと書き出してみることです。
キッチンタイマーでもストップウォッチでもいいので2分くらいにセットして。スタートと同時に頭の中に浮かんだワードを、ひたすら手を止めることなく書いてみましょう。
何かに迫られたり制限時間があると人間、嫌でも色々とアウトプットしようとする生き物です(笑)
「こんなワードも出てくるのか。」と自分の中の潜在意識や潜在ワードにも気づくことができますよ。
③構成を決める(最終的に伝えたいことを決める)

テーマとそれに沿ったいくつかのキーワードが揃いました。
次に「全体の構成」をなんとなく決めていきましょう。
構成を決めずに、いきなり一番の頭から書き出していくと途中で方向性を見失ったり、なんとなく”まとまり”の無いものになりがちです。
構成を決める上でのおすすめ
構成を決める際に「最終的に曲を聴き終えた時に何を伝えたいのか」を決めると、自然と全体の構成が組み立てやすくなります。
ゴールを決めてあげて、そこに向かうための道筋を作っていくという順番ですね。
<具体例(失恋 × 春)> ・最終的に伝えたいこと ただの悲しい失恋ソングというよりは、最後は失恋を受けとめて、また歩き出していこうという前向きな想い。
<全体の構成>
- 1番:失恋して悲しい
- 2番:失恋して悲しい。けど、色々気づけたこともある。
- 最後:失恋を思い出としてしまい込んで、また歩き出そう。
最後から逆算して、最後に向かって徐々に前向きになっていく構成がなんとなく出来上がりました。
④一番伝えたいことをサビに書く

さて、構成が出来上がったらキーワードを見つつ構成をもとに、自分の一番伝えたい想いをサビに書いていきましょう。
ここからはもう「やり方」はほぼ無しですね。個性が出てくるところです。
<具体例(失恋 × 春)> 1番(構成) 失恋して悲しい 1番(歌詞) 優しい笑顔を 今でもまだ探してしまう 2番(構成) 失恋して悲しい。けど、色々気づけたこともある 2番(歌詞) 痛みを知って初めて知った、本当の優しさを 最後(構成) 失恋を思い出としてしまい込んで、また歩き出そう。 最後(歌詞) ありのままをくれた場所も忘れぬように ポケットにしまい込んだ 思い出と共に
それぞれの構成をもとに、見合った歌詞を書いていきました。
⑤Aメロ、Bメロで「5W1H」を詰め込む

ここに関しても何度も言いますが、明確な正解はありません。
ですが「AメロやBメロ、何書いていいかわかんないよ〜」と言った初心者の人には、まずは「5W1H」を詰め込んでみることをオススメします。
Who(だれが)When(いつ)、Where(どこで)、What(なにを)、Why(なぜ)、How(どのように)これらを明確にしておくことで、すんなりとサビに導入できるようになります。
- Who(だれが):僕が
- When(いつ):桜舞う春に
- Where(どこで):人混みの中で
- What(なにを):失恋した恋を
- Why(なぜ):同じ場所に立ったことで
- How(どのように):蘇るかのように
→僕が、桜舞う春に人混みの中で、失恋した恋を、同じ場所に立ったことで蘇るかのように、思い出している。
Aメロ、Bメロで「5W1H」を詰め込む上でのおすすめ
AメロとBメロの役割を持たせてあげると、より組み立てやすくなります。
<具体例> Aメロ:あらすじ、背景を説明する Bメロ:サビへつなげるシーン転換 Aメロ(歌詞) 桜舞い散る 賑わう街並み ざわめくいつかの木漏れ日と 蘇る足音 今となれば遠い日の笑顔 Aメロ(内容) 「桜舞い散る」「木漏れ日」「蘇る」「遠い日」などの「春」×「失恋」のキーワードを入れつつ、「桜舞う季節に昔の笑顔を思い出している」という、導入(あらすじ) Bメロ(歌詞) 人混みのアスファルト ふと空を見上げた Bメロ(内容) 「人混みのアスファルト」という今の状況から「ふと空を見上げた」という行為によって何かを思い出そうとする「回想シーン(過去の記憶)」へと切り替える サビ(歌詞) いつかこの桜道 つなぎ合った手に覚えた名もなき想い サビ(内容) Bメロのシーン転換を受けて、過去の記憶の回想シーンへと移り変わっている ※Bメロで「回想シーン」へと切り替えたことによって、サビの頭は「過去の回想シーン」から入りやすくなる。
さらに細かなテクニック

ここからは応用として、作詞に慣れてきた頃に使えるテクニックを紹介。
①比喩を使う
比喩とは、直接的な表現をせずにあえて違うもので例えたりする表現方法。
(例)ガラスのような心(壊れやすく繊細な心) / 君は太陽だ(眩しくて明るい存在)
なんとなく、ありきたりな歌詞だな~といった時に、比喩を用いることでオリジナリティが増すことも。
②倒置法を使う
文節や語順を、普通の流れとは逆に並べる方法。
(例)今まで以上に、愛している。→ 愛している、今まで以上に。
メッセージが、より強く伝わってくるような気がします。メロディとの相性も合わせやすくなったりと、言葉の並び順はいろいろ試してみる価値ありです。
具体例であげた内容をまとめると

さて、作詞の進め方5ステップであげた具体例の内容をまとめてみました。
【①テーマ】 「春」×「失恋」 【②キーワード】 <春> 桜、歩道橋、舞い散る、春風、木漏れ日… <失恋> さよなら、遠い日、あの頃、蘇る、振り返る、叶わない、記憶、今でも… 【③構成】 <1番> 失恋して悲しい <2番> 失恋して悲しい。けど、色々気づけたこともある。 <最後> 失恋を思い出としてしまい込んで、また歩き出そう。 【④一番伝えたいことをサビに書く】 <1番(構成)> 失恋して悲しい <1番(歌詞)> 優しい笑顔を 今でもまだ探してしまう <2番(構成)> 失恋して悲しい。けど、色々気づけたこともある <2番(歌詞)> 痛みを知って初めて知った、本当の優しさを <最後(構成)> 失恋を思い出としてしまい込んで、また歩き出そう。 <最後(歌詞)> ありのままをくれた場所も忘れぬように ポケットにしまい込んだ 思い出と共に 【⑤Aメロ、Bメロで5W1Hを詰め込む】 <5W1H> 僕が、桜舞う春に人混みの中で、失恋した恋を、同じ場所に立ったことで蘇るかのように、思い出している (AメロとBメロの役割を持たせる) <Aメロ> あらすじ、背景を説明する <Bメロ> サビへつなげるシーン転換
これらをふまえて、書き上げた曲がこちら
「桜道」
(1番Aメロ:あらすじ・背景)
桜舞い散る賑わう街並み 1枚めくったカレンダー
花色の季節の始まりを風が告げた(←比喩)
春風になでられて ざわめくいつかの木漏れ日と(←比喩)
蘇る足音 今となれば遠い日の笑顔
(1番Bメロ:サビへのシーン転換)
人混みのアスファルト ふと空を見上げた
(1番サビ:Bメロの転換を受けつつ一番伝えたいこと)
いつかこの桜道
つなぎ合った手に憶えた 名もない想い
寄せ合った肩に落ちた花びら 記憶の中に今も
あの日 時間をなくしたベンチで僕にくれた優しい笑顔を
今でもまだ探してしまう
(2番Aメロ:回想が終わり、また現在へ戻ってきた)
歩道橋で手を振った上から見下ろすこの景色は
霞むこともなくてあの頃と何も変わらず
(2番Bメロ:「泣いている」ことを比喩を用いて表現)
駅前の人混みが滲んでこぼれた(←比喩)
(2番サビ:構成の「色々気づけたこともある」の部分)
いつかこの桜道
ふざけ合う中にあったたしかな想い
何年先も桜の下で 叶わないあの約束
きっと見えなかったもの 君がそばにいなかったら(←倒置法)
痛みを知って初めて知った 本当の優しさを
(落ちサビ:メロディーが少し大人しくなるところ)
いつかこの桜道
つなぎ合った手に憶えた名もない想い
寄せ合った肩に落ちた花びら 記憶の中に今も
(最後:受けとめ、また歩き出そうという前向きな想い)
今この桜道
ありのままをくれた場所も忘れぬように
振り向くことのない淡い背中と"さよなら”残した君
からっぽの手のひらが少し冷えた夕暮れの風に吹かれて
ポケットにしまいこんだ
思い出と共に...
テーマとキーワードと構成、サビに伝えたいこと、Aメロにあらすじ、Bメロにシーン転換。+αで比喩や倒置法などを盛り込むことで、全体的に順序立てて埋めていくことができます。
初心者にNGな作詞法

初心者の人にありがちなパターンを紹介。
ターゲットを絞りすぎてしまう
「ターゲットを絞りましょう」とよく言われますが、こちらはあまりオススメしません。
なぜなら、あまりあてにならないからです。
「卒業」をテーマにして10代20代をターゲットに絞っても、大人だって「卒業」を経験しているため共感します。 「恋愛」で女性をターゲットに「女性目線」の歌にしても「女性の気持ちはそんな感じなのか〜」と、男性からの支持も生まれます。
結局、設定したターゲットに刺さる言葉を考えたところで、あまりワードは絞れてこないのです。ターゲットに向けた明確なワードはそこまで存在しません。強いて言えば10代なら「ぴえん」とかですかね(笑)
結局いろんな人が共感してくれて、こちらで予測したターゲットにだけ届けるなんてことは不可能です。
もちろん慣れてきたら「ペルソナ」と呼ばれる、聴いてくれる「誰かひとりの人物」を設定して作詞をすることも、より伝えたいことが鮮明になりオススメです。
ですが、そういった人物があまり浮かばないな~と言った人は、まずはターゲットを絞るということは深く考えずに「テーマ」から掘っていく方がスムーズかと思います。
細かく説明しすぎてしまう
5W1Hなどをオススメしましたが、説明しすぎてしまうとかえってNGなこともあります。
主人公の設定や気持ちなど、聴いた人に想像してもらえるくらいの余白も大切です。
歌詞の他に、メロディーから伝わる雰囲気があるのも歌の良いところ。
聴く人それぞれの解釈がある。といった歌もあって良いかなと思います。
作詞の方法・コツ・簡単なやり方まとめ

初心者向け、作詞のコツをまとめると
- ①テーマを決める
- ②キーワードを書き出す
- ③構成を決める(最終的に伝えたいことを決める)
- ④一番伝えたいことをサビに書く
- ⑤Aメロ、Bメロで「5W1H」を詰め込む
この他、ある程度は歌いやすい言葉を選ぶこともオススメです。
「老若男女が〜」なんて噛みそうな歌詞は歌うのも一苦労(笑)
ただ、何度も言うように正解は無いので「早口言葉の歌」として「老若男女」を歌詞に詰め込んだって良いのです。
大切なのは、とりあえず一曲完成させてみること。
最初ほど「良いものを書かなきゃ」と色々と凝ってしまって結局進まなくなってしまうなんていうこともよくある話です。
1曲完成させると自分の中で色んな発見があり「次はこんな曲を作りたい。」など湧き出てくると思います。
そしてそのうち、おそらくこの記事のようなテンプレは必要なくなるかと思います。
その時は、どんどんオリジナリティ溢れる創造性が湧き出てきた証拠です。あくまでこの記事は、それまでの最初のきっかけになればと。
作詞にテンプレなど存在しません。
というわけで、以上です。